シンポジウム開催のご案内『なぜアートに魅了されるのか』2025/1/18・土13:30〜16:00@慶應義塾大学三田キャンパス

下記の通り,シンポジウムを開催します。どなたでも参加できます。

シンポジウム『なぜアートに魅了されるのか』
開催日時:2025年1月18日(土)13:30〜16:00(開場13:00)
会場:慶應義塾大学三田キャンパス北館1階ホール
申込不要・参加無料(どなたでも参加できます)

主催:科学研究費・学術変革領域研究(A)『マテリアマインド:物心共創人類史学の構築』)
共催:三田哲学会,慶應義塾大学未来共生デザインセンター
協力:慶應義塾大学アートセンター

問合先:川畑秀明(慶應義塾大学 kawabata@flet.keio.ac.jp)

概要「人はなぜアートを求めるのか?」——この問いには、なぜアートを作るのか、なぜ他人の作ったアート作品を楽しむのか、という両方の問いが含まれる。今日でこそアートは職業として成り立ち、作品を買うこともできるが、子供達の自発的な描画や、世に受け入れられない貧乏画家を考えると、そもそもヒトはアートを求める動物だとも考えられる。本シンポジウムでは、心理学や美術史などの立場から、アートを求めるヒト/人の生物学的・社会的・文化的理解を通して、人類の歴史の中でアートがどのような役割を果たしてきたのか、アートを求める心はどこにあるのかについて学問領域を超えた議論を行う。

講演者・講演タイトル
渡辺茂(慶應義塾大学)「アートにおける恣意性と民主主義:比較認知科学の視点
五十嵐ジャンヌ(東京藝術大学)「ラスコー洞窟壁画の魅力:考古学的にみる太古のアート
小佐野重利(東京大学)「アートの力—美術史から観た、「うつ」や精神障害と闘う芸術家—
川畑秀明(慶應義塾大学)「アートはウェルビーイングを与えうるか?—鑑賞者研究から考える

各講演の内容
渡辺茂    慶應義塾大学・名誉教授
演題「アートにおける恣意性と民主主義:比較認知科学の視点」
概要:アート(芸術作品)には定義がない。朧げに共通する性質を推し量ることはできるが、ある場所の、ある時代の、ある人にとっての美は、違う場所の、違う時代の、別の人の感じる美とは違うかもしれない。突き詰めて考えると美には恣意性がある。しかし、同時にアートは社会的承認を得る必要もある。社会的承認とは一定の数の人が納得するということであり、これは作者が生きている間に得られるとは限りない。この講演ではこのような問題を動物との比較から考える。

五十嵐ジャンヌ    東京藝術大学・非常勤講師
演題「ラスコー洞窟壁画の魅力:考古学的にみる太古のアート」
概要:フランスやスペインでは今から1万年以上前の旧石器時代に描かれた洞窟壁画が多く発見されている。フランス南西部のラスコー洞窟に描かれた生き生きとした動物の壁画群を紹介するとともに、考古学的な出土品や状況証拠から、旧石器時代人がどのように洞窟壁画を見ていたのか、どのように壁画を描いたのかを推測する。長い月日を経て奇跡的に残る最古級のアートとして洞窟壁画にわれわれ現代人が惹きつけられる背景を考える。

小佐野重利    東京大学名誉教授・同大大学院新領域創成科学研究科特任研究員
演題「アートの力—美術史から観た、「うつ」や精神障害と闘う芸術家—」
概要    今日、美術創作の起源も「うつ」など精神障害の発現も、生物進化の過程で人類が遺伝的に獲得した神経システムの「特性」が関与していると考えられている。美術作品を理解するには、制作者の創作心理ばかりでなく、鑑賞者の知覚と感情の関与を考える必要があると唱えた美術史研究者のグループによって、心理学的、神経科学的な研究が導入された。講演では、fMRIラボ実験での被験者によるカラヴァッジョ作品画像の鑑賞を解析した結果などを紹介した上で、アートの力という観点から、精神障害と闘った/闘っている芸術家について論じてみる。

川畑秀明    慶應義塾大学文学部教授
演題「アートはウェルビーイングを与えうるか?—鑑賞者研究から考える」
概要:アートが与える効果・効用に関する研究やアートを用いた文化的処方に関する実践がこの10年ほどの間に世界中で急速に進み、多方面からの注目を集めている。実験美学を背景とした鑑賞者研究の文脈では、従来の実験室研究に加えて、美術館における鑑賞研究や、街中でのパブリックアート鑑賞をテーマとした研究なども散見されるようになった。本講演では、鑑賞者研究の視点から、アートがどのように人々の心(感情や認知)を変容させうるのかについて、特に演者らが行ってきている量的研究を踏まえ、アート鑑賞(やアート創作)がウェルビーイングや関連する心理指標への影響について考えたい。